「プロジェクトDENGEKI」作品情報

大工原正樹の『赤猫』をふりかえって(井川耕一郎)

(『赤猫』は9/27,10/4に上映)(『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』について書いたときと同じように、とりとめない雑感になってしまうかもしれないが、『赤猫』についても書いておくことにする) 『赤猫』のシナリオを大工原さんにメールで送り、あー、終…

『お姉ちゃん、だいきらい』自作解説(佐野真規)

「センパイ、お願い」笑顔で可愛い女の子に頼まれたら断れる自信が全く無ありません。仲間内で一日で取れるようなものを、という企画で制作を始めたはずが、一ヶ月に一度集まって撮影をし、撮了までに五ヶ月かかりました。追加撮影を含むと六ヶ月。後輩のか…

『ちるみの流儀』自作解説(川島玄士)

(「ちるみの流儀は」9/30,10/3に上映)そもそもは「みちるの流儀」というタイトルだったけど、浜田さんが本名はイヤだって言うんで「ちるみの流儀」というタイトルになったんでした。そのタイトルを考えてくれたのは高橋洋さんで、「“美しく散ると書いてち…

『電撃』へのコメント(粟津慶子)

(『電撃』は9/24,10/2,10/5,10/8に上映)『収穫』のころと比べ、だいぶ大人っぽくなった波多野桃子さん。彼女が演じる妹は、年上の女を怖れおののかせる威力いっぱいでゾクゾクしました。あのむにゅっとした足にあの靴下、あのスカート丈、恐ろしい計算です。…

『静かな家』へのコメント(高橋洋)

(「静かな家は」9/26,10/1に上映) 自分が変質者だと気づいてしまった少女の話、なんだろう。 それが美少女で、かつ学校でイジメにあってるとか友達とうまくいってないとかじゃなく、男子が喧嘩をしていれば体を張って止めるぐらいのしっかりしたヤツ、とい…

『電撃』へのコメント(三宅隆太)

(『電撃』は9/24,10/2,10/5,10/8に上映)脚本家・映画監督の三宅隆太さんより『電撃』にコメントを頂きました。 正直、渡辺あいの演出には、やや迷いを感じる。 現場での悔いが残留思念となって映し出されてしまったような場面もある。 だが、それでもこの映…

『ミニチカ』へのコメント(高橋洋)

(『ミニチカ』は10/6,10/7に上映) 新谷尚之が演じる狂人が写っているわけだ。しかし、我々が目撃したあの狂人とは、何であったのか、もう少し厳密に言わねばならない。 あれは赤塚不二夫の漫画に登場する狂人の実写化なのである。 大木原正樹がそう指示した…

『BMG』へのコメント(万田邦敏)

(『BMG』上映は9/29,10/7)映画監督の万田邦敏さんからプロジェクトDDENGEKIで上映の『BMG』にコメントを頂きました。 何やら怪しげな男が勧める怪しげな仕事を引き受けた女に向かって、その怪しげな依頼者がささやく。「もし仕事に失敗したら、あなたの…

『BMG』へのコメント(高橋洋)

何か80年代の自主映画を思わせる気配がそこかしこに漂っている映画であった。 80年代の自主映画といっても色々なのだが、ここで言ってるのは、立教のパロディアス・ユニティとか僕の所属していた早稲田のシネ研とか法政のシアターゼロ関係とかが撮ってい…

『正当防衛』というタイトル(高橋洋)

(正当防衛は9/26,10/5に上映) だいたい監督の伊野沙紀は日本語がおかしい。この映画の原案はすでに入学時に提出された企画書段階で出来上がっていたのだが、どうしてそれが『正当防衛』というタイトルなのか、僕はさっぱり判らず、そもそも正当防衛って何…

『わたしの赤ちゃん』における◯◯◯について (高橋洋)

(「わたしの赤ちゃん」は9/27.10/7に上映)あえて◯◯◯と伏せ字にしたのは、それがクライマックスの階段シーンで起こる重要なアクションと関わっているからで、ネタバレしたくないのである。 うーん、それは『わたしの赤ちゃん』の準備中、シナリオに書かれて…

渡辺あい『電撃』と冨永圭祐『乱心』についての往復書簡・第3回(清水かえで+井川耕一郎)

(『電撃』は9/24,10/2,10/5,10/8に上映)<井川耕一郎→清水かえで:『電撃』の病気、『乱心』の病気・その2> 次に『乱心』について。 清水さんは、シーン13で盛太が遠くに放り投げたボールが、シーン14でひよりをあたりそうになるところについて尋ねてまし…

『電撃』の顔について(古澤健)

(『電撃』は9/24,10/2,10/5,10/8に上映)渡辺あいは、僕の連作短編『Mっぽい』シリーズのヒロインである。と書いたら本人に嫌がられるだろうが、僕の認識ではそうなのだからそこから始めたい。役者が監督に転じると、大概傑作を撮ってしまうものだ。最近で言…

渡辺あい『電撃』と冨永圭祐『乱心』についての往復書簡・第2回(清水かえで+井川耕一郎)

<清水かえで→井川耕一郎:『乱心』のシナリオを読んで> 『乱心』のシナリオ、送っていただき、ありがとうございます。 面白かったです。 どんな役者さんがどんなふうに演じているんだろう、どんなところで撮影しているんだろうって、 冨永さんの映画が見た…

渡辺あい『電撃』と冨永圭祐『乱心』についての往復書簡・第1回(清水かえで+井川耕一郎)

(『電撃』より)<はじめに> 試写で渡辺あいさんの『電撃』を見たら面白かった。それで、大工原正樹さんに、『電撃』の感想をブログに書きますよ、と言ったのだが、あとになって、しまった!と思ったのだ。冨永圭祐くんの『乱心』とセットにして論じると面…

『静かな家』へのコメント(モルモット吉田、石川翔平)

(「静かな家は」9/26,10/1に上映)長谷部大輔の『静かな家』は、この後に『棄てられた女たちのユートピア』(オムニバス『人の砂漠』より) と『浮雲』を撮ったとは思えない瑞々しさにあふれている。しかし、自ら構築した世界を壊す破壊衝動が突発的に顔を出…

『お姉ちゃん、だいきらい』へのコメント(高橋洋)

川口の胸毛がすべてだったと言いたい。 川口というのは同じ11期生で、年はそんなに離れていないのに、何故かオッサンに見えるという理由だけでキャスティングされたに違いないのだが、彼の胸毛を見るなり、魅力的なヒロインも他の出演者の好演も吹っ飛び、他…

『電撃』へのコメント(高橋洋)

(『電撃』は9/24,10/2,10/5,10/8に上映)映画美学校生は何故かクランクイン直前になってから「ご意見お願いします」と僕にシナリオを送って来るのだ。 で、時間がないのはこちらも判ってるんで慌てて眼を通し、意見を書き送ると、「イン直前でどこまで直せる…

『BMG』自作解説(松浦博直)

ジェームズ・スチュワートみたいな洒落た男が、若尾文子や梶芽衣子のような業を背負った影のある女性と出会い、二人が恋に落ちる映画にしたい。最初はそんな風に漠然と考えていました。しかし彼らが出会ったのはいいが、その後がなかなか進みません。男と女…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』試写を見て(にいやなおゆき)

今日、また『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』試写に行ってきました。これで何度めか。7回……いや、8回くらい観てるかも。しかし不思議な事に何度でも観れるんですよね『ホトホトさま』。ストーリーだけの映画なら飽きるし実験映像だと疲れるけど、この作…

『わたしの赤ちゃん』よし、このシナリオで行こうと思ったとき(磯谷渚)

出来上がった作品は、ザッツ姉妹ものといった感じなのですが、最初に何をやろうか考えていたときに、主要人物を姉妹にしようとは思っていませんでした。最初に考えたのは、「死産した保母さんが子供を失った悲しみでだんだん精神を病み、保育所に預けられた…

『BMG』へのコメント(塩田明彦)

映画監督の塩田明彦さんよりプロジェクトDENGEKIで上映します『BMG』(松浦博直監督)へのコメントを頂きました。『BMG』 伊藤まき演じるヒロインの容貌、立ち振る舞いが香港の女優サミー・チェンに似ている。それゆえ、私は彼女が軽やかにラブ・コメ…

『ちるみの流儀』へのコメント(高橋洋)

映画監督・脚本家の高橋洋さんよりプロジェクトDENGEKIで上映する『ちるみの流儀』(川島玄士監督)にコメントを頂きました。 「ち〜る、ち〜る、ちるみ、ちるみ〜」。主題歌の作詞を担当した高橋洋です。 飲み会で追撮の話をしていたら、監督の川島が「何かも…

『静かな家』作品解説(長谷部大輔)

「静かな家」作品解説 「静かな家」は東京芸大映像研究科の一年目に撮る夏季実習作品として製作されました。2008年に撮ったものなので、あまり多くのことは覚えていないのですが、決まりごとは、シナリオは脚本領域の学生が担当し、尺は30分、16ミリフ…

『静かな家』へのコメント(塩田明彦・直井卓俊)

(「静かな家は」9/26,10/1に上映)映画監督の塩田明彦さんよりプロジェクトDENGEKIで上映します『静かな家』(長谷部大輔監督)へのコメントを頂きました。感情が高ぶると足をもつれさせる少女という着想は悪くない。廃墟でひたすら壁に空き瓶を投げ続ける…

『正当防衛』伊野紗紀監督による自作解説

(正当防衛は9/26,10/5に上映)<物語> 強い決意を胸に市役所を辞め、人材派遣会社の営業に転職した桜井。派遣スタッフ、顧客、後輩そして上司に挟まれた桜井に、次々とトラブルが降り掛かる。彼女の努力も虚しく一人、また一人と同僚が去って行き・・・。…

『お姉ちゃん、だいきらい』佐野真規監督

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」の併映作品。プロジェクトDENGEKIにて上映(9/25,9/30)2011/DV 13分 出演:久保紫苑、内藤瑛亮、加藤綾佳、川口陽一 監督:佐野真規/撮影:星野洋行/録音:清水絵里加/助監督:冨永圭祐/演出助手:山形哲生 シオ…

『ちるみの流儀』川島玄士監督

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」の併映作品。プロジェクトDENGEKIにて上映(9/30,10/3)監督:川島玄士 2011年/20分/DV 出演:浜田みちる、芳士戸一成、山田達也、川島玄士、神保卓也 他 映画学校のビデオ課題の撮影のために集まった監督カワシマと女優…

『ミニチカ』大工原正樹監督

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」の併映作品。プロジェクトDENGEKIにて上映(10/6,10/7)監督 大工原正樹 2007年/7分/DV 出演:佐藤康恵、新谷尚之、万田邦敏、西山洋市、井川耕一郎、植岡喜晴、篠崎誠<解説> 美人スパイ・ミニチカと強烈な個性を放つ…

「わたしの赤ちゃん」予告編アップ!

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」と共に、プロジェクトDENGEKI作品として9/27,10/7に上映。小中千昭さん(特殊脚本家)による「わたしの赤ちゃん」への下記コメントが痛快!〜 軽やかに描かれる姉妹という<原罪> 日常のステージが音を立てて崩壊する…