「ホトホトさま」作品情報

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』作品評(阿部嘉昭)

開巻早々の黒画面で、傷のような縦棒が一本、無造作に現れる。それがやがて二本になり三本になる画面が出てくると、映画内に小分けされている章の序数だという了解も成立してゆくのだが、ご覧のようにそれはローマ数字ではなかった。縦棒の数でのみ数値がた…

愚かなる姉弟(井土紀州)

姉と弟は、母の遺骨を抱いて、かつて自分たちが暮らした街を徘徊する。その過程で二人の内に、かつて義父に受けた虐待の記憶が甦り、姉弟は義父の影に怯えることになる。性的暴行を受けていたらしい姉は、「男の人の指が怖い」と言い、水に沈められていたら…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』を見て思ったこと・第3回(井川耕一郎)

今年の三月にアテネフランセ文化センターで大工原正樹特集があったとき、チラシには次のような『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』の紹介が載った。 子供の頃に義父から受けた虐待の記憶に苛まれる姉弟が、母の死を機に故郷の港町を久方振りに訪れる。彼ら…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(花くまゆうさく)

「姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う」を見た。 一ヶ所ものすごくハッとする恐いシーンがあって、ビックリ感心したよ姉ちゃん!花くまゆうさく(漫画家)

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』を見て思ったこと・第2回(井川耕一郎)

岡部尚演じる弟がかかえている骨壷から、長宗我部陽子演じる姉が遺灰をつかむと、それをトンネルめがけてまく……。 完成した『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』を初めて見たときに一番ひっかかったのは、シナリオにはないこの冒頭だった。シナリオを書いた…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(藤原章)

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』は主人公の姉弟が様変わりした故郷の港を歩くところから始まる。 「久しぶりだな〜、ずいぶん変わっちまいやがって!」 港町を背にしてこんなセリフを口にすれば、自ずと作為的なアングルにもなろうというもの。いわゆ…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(三宅隆太)

脚本家・映画監督の三宅隆太さんより『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメントを頂きました。 本当に辛い経験をすると、時間は停止する。 姉ちゃんと弟の場合もそうだった。 我々はちょっとした居心地の悪さを覚えながらも、ふたりの旅のお供をさせ…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』を見て思ったこと・第1回(井川耕一郎)

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』については前に書いたことがある(注)。しかし、あのときはまだ完成作品を見ていなかった。そこで、今回は映画を見たあとに思ったことを記そうと思う。といっても、とりとめのない雑感になってしまいそうだけれども。 …

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』を観て(清水健治)

この文章は、『寝耳に水』(監督:井川耕一郎)に出演している清水健治さんが脚本の井川耕一郎さん宛のメールに書いた『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』の感想です。 清水さんの許可をいただいて掲載しました。『ホトホトさま』観させていただきました。…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(尾西要一郎)

映画プロデューサーの尾西要一郎さんより、『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメントを頂きました。 微熱をおびた姉弟の道行き。蟲たちのすえた匂い。トンネルに滴る鮮血の存在感。 映画の「彼岸」がここにある。 瑞々しさと円熟。大器、大工原監督…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』『純情№1』の衣装について(長宗我部陽子)

『ホトホトさま』で着ている衣装は1点のみ。紫色のワンピースと白いカーディガン、ベージュのトレンチコート、それと紫色のパンプス。衣装は元々、血糊で汚れることが分かっていたので、新品を2着買いすることになっていた。そこで、監督と私と助監督の中…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(小原治)

ポレポレ東中野の小原治さんより『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』にコメントを頂きました。 聞いたこともないのに知っている主題歌に心奪われ、個別の時間と空間の玉突き事故に興奮し、カルピスという事実がまた味わい深いビンの虫に心が蠢きました。一…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』試写を見て(にいやなおゆき)

今日、また『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』試写に行ってきました。これで何度めか。7回……いや、8回くらい観てるかも。しかし不思議な事に何度でも観れるんですよね『ホトホトさま』。ストーリーだけの映画なら飽きるし実験映像だと疲れるけど、この作…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメント(松江哲明)

ドキュメンタリー映画監督の松江哲明さんより、『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へコメントを頂きました。 姉ちゃんの動きが可笑しい。手をくねらせるタイミング、首をひねる間、すっとぼけた台詞回し、終いには弟を結ぶ帯のくねくねする動きにまで目が…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』・『純情No.1』 メイキング裏話(高橋洋)

映画監督・脚本家の高橋洋さんより、「ホトホトさま」と「純情No.1」について文章を頂きました。「終わりの歌が聞こえてくるよ〜」。主題歌の作詞を担当した高橋洋です。 自分で言うのも何ですが、いい曲ですよね(予告編に流れてます)。 歌謡曲に詳しい井…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』 キャストからのことば(岡部尚)

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』出演の岡部尚さんよりお便りを頂きました。 「姉さん」という台詞が好きでした。 「姉さん」と口にすると、照れ臭いけど妙にゾクゾクでした。 自分にも姉がいるが、「姉さん」と呼んだことはなかった。関西弁はともかく…

塩田明彦監督『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』コメント

映画監督の塩田明彦さんより『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメントをいただきました。 たったひとつの仕草、たったひとつの身振りが見えるはずのない過去や記憶、情念や執着を私たちに突き付けてくる。映画の冒頭、母親の遺骨を散骨する姉の身振…

万田邦敏監督『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』コメント

映画監督の万田邦敏さんから『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』へのコメントをいただきました。 大工原さんの映画を見ていつも思うのは、「上手いなあ」ということです。『未亡人誘惑下宿』や『風俗の穴場』のように多くの登場人物が一堂に会する集団劇を…

助監督日誌・『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』編 (冨永圭祐)

○DAY 12009年3月某日、僕は新宿スバルビル前にいた。たくさんの撮影隊のロケ車に混じって、『ホトホトさま』撮影隊の車も申し訳なさそうに並んでいた。そう見えたのは、自分の心境のせいだろうか。 なにせ、ここまで本格的な現場(映画美学校のカリキュラム内…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』と長宗我部陽子についてなど(大工原正樹)

この映画を撮ろうと思ったのは、とにかく長宗我部陽子と久しぶりに仕事をしてみたかったというのが一番です。その前年、高橋洋監督の『狂気の海』でFBI捜査官を演じているのを観て「ああ、やはりこの人はシャープだ。かっこいい」と思ったのですね。 10年位…

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』予告編up!

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』 作品データ

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』2010年(49分)HDV出演:長宗我部陽子 岡部尚 森田亜紀 高橋洋 光田力哉監督:大工原正樹 脚本:井川耕一郎 撮影・照明:志賀葉一 録音・整音アドバイザー:臼井勝 音楽:中川晋介助監督:冨永圭祐 中島知香 渡辺あい …