『静かな家』へのコメント(モルモット吉田、石川翔平)


(「静かな家は」9/26,10/1に上映)

長谷部大輔の『静かな家』は、この後に『棄てられた女たちのユートピア』(オムニバス『人の砂漠』より) と『浮雲』を撮ったとは思えない瑞々しさにあふれている。しかし、自ら構築した世界を壊す破壊衝動が突発的に顔を出す瞬間の衝撃と、少女の肉体に漂うエロスまで射程に入れて映画を構築しようとする姿勢にはゾクゾクするような興奮を覚える。
――モルモット吉田:映画ライター


妙に西洋趣味な室内空間。正体不明な“普通”を謙虚に守ろうとする父親の言動。燃やす、転ぶ、食べるという映画的描写。作品全体がシニカルさに満ち満ちていて、笑い無くしては観られない。なんだろう長谷部作品に見られるこの明るい悪意は!白い家で向かい合って納豆を食べる。そのねばつきが長谷部大輔だ。
――石川翔平(ポレポレ東中野