『ちるみの流儀』へのコメント(高橋洋)

映画監督・脚本家の高橋洋さんよりプロジェクトDENGEKIで上映する『ちるみの流儀』(川島玄士監督)にコメントを頂きました。


「ち〜る、ち〜る、ちるみ、ちるみ〜」。主題歌の作詞を担当した高橋洋です。
飲み会で追撮の話をしていたら、監督の川島が「何かもう一つ足りない」と言い出したので、「主題歌とかあるといいよね」「それだ! それですよ!」となって、その場で割り箸の袋に歌詞を書きました。本当は主演のちるみを呼び出して、すぐに歌わせてみたかったのだけど、ちるみは普段、講師陣の前ではとても従順で、私、何をやっても自信がないんです…みたいな殊勝なことを言ってるんだけど、生徒たちの前では豹変し「悪」の本性を現すらしいので、すべては秘密裏にことを運ぶ必要があったのです。
この映画は監督・川島と、ちるみの「悪」との戦いの記録とも言えるでしょう。ちるみが自分の「悪」にどうやら気づいていないところが戦いをよりややこしいものにしているようです。古澤君の『love machine』の仕上げでパソコンのトラブルが起こり、ちるみが途方に暮れていると、さすがに男子たちは放っておけず、「ちるみさん、大丈夫、何とかなるよ」とフォローするんですが、「どうしてもっと早く教えてくれなかったの?」「仕上げなめてんじゃないの?」といつの間にかフォローした方に責任が帰せられるあんまりな光景を僕も目の当たりにしたことがあります。
ちるみが自分の「悪」に気づいた時、何か「大化け」が起こるんじゃないかと僕は期待しています。
ちなみに川島も一見好青年風ですが、時おり邪悪な表情を浮かべることに、『旧支配者のキャロル』にキャスティングして気づきました。
 

高橋洋:映画監督・脚本家(『旧支配者のキャロル』『恐怖』『リング』他)