『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』 キャストからのことば(岡部尚)

『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』出演の岡部尚さんよりお便りを頂きました。


「姉さん」という台詞が好きでした。
「姉さん」と口にすると、照れ臭いけど妙にゾクゾクでした。
自分にも姉がいるが、「姉さん」と呼んだことはなかった。関西弁はともかく、若い弟が実の姉を「姉さん」と呼ぶケースは、現代では稀だと思う。多分。
だから面白いし、どこかエロい。
呼んでる人いたら素直に素敵だと思います。
じゃあ、タイトルは何故「姉ちゃん」なのか?
あるシーンで台詞間違えました、ぼく。興奮して気付いたら「姉ちゃん」って言ってた。
いい加減だと思われるかもしれませんが、そうでもなくて、幼い頃は実際に姉を「姉ちゃん」って呼んでた。昔の記憶が蘇ったのかもしれません。
俳優をやらせてもらってて、こういう瞬間って、たまりません。大工原監督は僕の間違いを即座に受け入れてくれました。
「姉ちゃん」ってタイトルにまでなってるし!
とは言え、撮影中は苦しくて逃げ出したかった。けど逃げなかった。当たり前だけど。
完成した映画を観て、逃げなくて良かったと思いました。ま、逃げれませんけど。もがいてます。せつないです。瓶の中の虫と同じです。
トンネルが暗くて本当に怖かった。寒かった。監督はずっと煙草吸ってた。
火が赤くチカチカ燃えて綺麗だった。

岡部尚:俳優(ノックアウト所属。『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』『ゲゲゲの女房』『ステキな金縛り』他、出演作多数)