『プロジェクトDENGEKI』6/2〜6/8シネヌーヴォ上映情報!

シネヌーヴォにて上映のプロジェクトDENGEKI各作品の情報をまとめました。
大阪では限定一週間上映です。ぜひお見逃しなく!

○上映スケジュール詳細○
大阪シネヌーヴォ(http://www.cinenouveau.com/coming/coming.html

【Aプロ】:『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』+『電撃』
【Bプロ】:『純情No.1』+『赤猫』+『ちるみの流儀』
【Cプロ】:『わたしの赤ちゃん』+『静かな家』+『BMG』+『正当防衛』+『お姉ちゃん、だいきらい』

6/2(土)
18:40〜【Aプロ】 20:35〜【Bプロ】
6/3(日)
18:40〜【Aプロ】 20:35〜 休映
6/4(月)
18:40〜【Aプロ】 20:35〜【Cプロ】
6/5(火)
18:40〜【Aプロ】 20:35〜【Bプロ】
6/6(水)
18:40〜【Cプロ】 20:35〜【Aプロ】
6/7(木)
18:40〜【Bプロ】 20:35〜【Aプロ】
6/8(金)
18:40〜【Cプロ】 20:35〜【Aプロ】


【Aプログラム】『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』+『電撃』

『電撃』2011年/HD/37分

監督:渡辺あい
出演:美輪玲華、安藤匡史、波多野桃子
脚本:冨永圭祐 渡辺あい
制作:地良田浩之 笠原雄一
撮影・照明:星野洋行
録音:川口陽一 中瀬慧 清水絵里加    
美術:山形哲生 原太一
衣装:坂本博之
スクリプト:中島知香
助監督:冨永圭祐 内藤瑛亮 山形哲生 佐野真規
撮影助手:神保卓也
照明助手:芳士戸一成
スタントコーディネート:根本大樹 スタント:イチコ   
編集:地良田浩之 渡辺あい
整音:中瀬慧
音楽:上松翔一

<STORY>
「愛するタカヒロが浮気をしているーーー」。けれどミチコは、いつかタカヒロの愛を取り戻せると信じていた。「だって、わたしのお腹にはあの人の子が宿っているのだもの…」。ミチコは寡黙に、タカヒロの身の回りの世話を焼く幸せを噛みしめていた。しかしある日、タカヒロの妹と称する少女が現れ居候をはじめた日から、ミチコの愛の生活が音をたてて崩れ始める……。<解説>
渡辺あい、本気の処女作。この時代錯誤な設定に「リアル」をもたらしているのは、間違いなくヒロイン・美輪玲華の圧倒的な存在感だろう。美輪が演ずるミチコは劇中ある職業を身に纏うのだが、その職業がギミックと見えてしまえば失敗のこの映画で、彼女は登場の瞬間からそれが紛れもない現実であることを、そのフィクション性の高い肉体と佇まいで表現してしまう。そして、美輪の時代錯誤を際立たせるはずの波多野桃子も、一見今の少女風を装いながら、現代のそれとは真逆の「速い」芝居で美輪の存在感にたち向かう。そして、二人の女に挟まれる安藤匡史のストイックな受けの芝居が絶妙なアンサンブルを生み出す。これだけ配役に成功している映画が面白くないわけがないのだが、この三人の想いが錯綜するドラマは、大胆な省略をそうとは気づかせないしっとりとした情緒も絡ませながらクライマックスへと向かっていく。いくつもの謎を残しながら。渡辺あいは、ここが映画的な見せ場だというポイントを逃さない。特に3つあるラブシーンの演出は見るものをハッとさせ必見。つまり、運動神経がいいのだ。



【Bプログラム】『純情No.1』+『赤猫』+『ちるみの流儀』

『純情No.1』2011/20分/HDV

監督・脚本:大工原正樹 
出演:長宗我部陽子 北山雅康 猪原美代子 市沢真吾
撮影・照明:山田達也 録音:臼井勝 音楽:山根ミチル

<解説>
主人公の女の見事な思い込みが、終始デタラメな展開を呼ぶコメディ。なのだろうか?大雑把に言ってしまえば、憎しみがつきぬけてやがて愛に変わるお話な気がするのだが、なんだか違う気もする。タイトルもデタラメなようで、確かにこれしかない気もする。ひょっとしたら大工原正樹に騙されているのかもしれない。ただひとつ言えるのは、主演の長宗我部陽子がデタラメでチャーミングでひたすら楽しい映画であるということだ。



『赤猫』2004年/42分/DV

監督:大工原正樹 
出演:森田亜紀、李鐘浩、藤崎ルキノ、永井正子
脚本:井川耕一郎、撮影:福沢正典

<STORY>
 私(李鐘浩)の出張中、妻の千里(森田亜紀)が流産した。風呂の電球を替えようとして、椅子から転落して流産したのだ。
 退院後の千里は何もしゃべらず、マンションのベランダからただ遠くを見つめているだけだった。
 だが、ある夜、ふとしたことをきっかけに、千里は流産に至る経緯を私に話しだした。
 近頃、町で頻発している連続放火事件……。
 偶然に聞いた夫が浮気しているという根拠のない噂……。
 いるはずのない猫の気配を感じ取り、ネコアレルギーの症状が出たこと……。
 夫が学生時代に買った本の中から出てきた一枚の古い写真に写っている女性……。
 日常生活で些細な疑念や異変が積み重なっていく中、ある日、千里は放火犯を意味する「赤猫」という隠語を耳にする。
 そして、そこから千里の話はとうてい信じられないような方向へと展開してゆく……。<解説>
ナレーションやモノローグ表現の極致ともいえる一本。人が狂っていくのを目の当たりにするのは恐ろしい。ましてここでは結果が先に知らされているのだ。ことの次第を聞いていくうち、夫は目の前にいる妻が見知らぬ他人に見えてくる。観る者はその緊張感と恐怖で息が苦しくなる。やがて真っ暗な背景のなか、森田亜紀がこちらに向かって語りはじめる、そこに誰もいないかのように……。ラストが訪れたとき、私たちは解放され心底ホッとするだろう。劇中の夫も実はそうだったのではないか。



『ちるみの流儀』 2011年/20分/DV

監督:川島玄人
出演:浜田みちる、芳士戸一成、山田達也、川島玄人、神保卓也 他<解説>
映画学校のビデオ課題の撮影のために集まった監督カワシマと女優のちるみ。しかし相手役が遅刻していて撮影が始まらない。やっと来た相手役をねちねちと虐め始めるちるみは、すでに劇用の酒でしたたか酔っていた……。抱腹絶倒、連作スタイルのフェイク・ドキュメント。なんといっても自己中心的でワガママ放題の女優・ちるみを演じる浜田みちるの存在感が素晴らしいのだが、時々演技なのか素なのか判らなくなる瞬間がありスリリング。突然撮影現場から逃走する彼女の後ろ姿は必見。


【Cプログラム】『わたしの赤ちゃん』+『静かな家』+『BMG』+『正当防衛』+『お姉ちゃん、だいきらい』

『わたしの赤ちゃん』2010年/16分/16mm→DV

監督・脚本:磯谷渚
出演:藤井百代 森田亜紀 新井秀幸 福田英史 泉水美和子
スタッフ:上田紳一朗 大坂春菜 大野裕之 小形進之介 奥野達也 神保准 山田剛志 山本豪一 和田格

<STORY>
臨月を迎えた初美は妹の千佳と安産祈願に訪れるが、神社の階段から転がり落ちて死産してしまう。半年後、無事出産した千佳の元へ初美が訪れる。千佳は子供に、初美が自分の子供につけるはずだった、葵という名をつけていた……。
<解説>
姉妹の“痛快”な愛憎劇。15分の尺でドラマを描くには、ちんたらしてられないとばかりに激烈に展開していく。冒頭ほんの1,2分で、姉妹がともに妊娠、姉は流産し、妹の身籠った子の父親を疑い、ドラマの準備は整う。わずか1シーンでこれをやってしまう鮮やかさは、キム・ギヨンを思わせる。
姉妹の関係性を描く芝居場に階段が選ばれたのが必然としかいいようがないならば、その関係が限界まで来たとき、映画はあるべきラストシーンを迎える。絶対にもうこうなるしかないだろう!だからエクスタシーを感じ、時に観客は笑う。それでいいのだ。


『静かな家』2008年/30分/16mm

監督:長谷部大輔
出演:奥ノ矢佳奈 田中洋之助 河野純平 仲谷みなみ
脚本:服部隆志/制作:小川大樹/助監督:後閑広/撮影:安部
雅行/録音:青木瑠生/美術:難波和之/編集:真下雅敏

<STORY>
中学1年生の友澤なみき(13)は父親の英也(40)と二人暮らし。ある朝、なみきは英也に告げる。「お父さん、ワタシ、人を殺したい。できれば、お父さんがいいんだけど」
その日からなみきと英也の関係は急速に変化し始める。夏の気配、優等生のレッテル、母の不在、父の失業、そして父への本当の想い・・・。はたしてなみきは父を殺すのだろうか?
<解説>
父への複雑な思いから放火を繰り返す少女と、娘の変調に戸惑いながらも普通の親子でいようと無理を重ねる失業中の父。綺麗なものとどす黒く汚いものが同居するから面白いのだという長谷部大輔の人間観がここでも随所に炸裂しているのだけれど、不思議とリリカルな印象を残す。セリフを最小限に抑えながら、描写することの喜びに満ち溢れた長谷部版『台風クラブ』。
(※数秒間、フィルム原版による画の乱れあり。ご了承ください)


『BMG』2009年/20分/DV

監督・脚本:松浦博直
出演:伊藤まき 西口浩一郎 岸野雄一
撮影:小原悠人/照明:森内健介/録音:朝倉加葉子/助監督:
甲斐靖人 冨永圭佑/音楽:瀬川聡嗣/銃器効果:遊佐和寿

<解説>
決してバカではないけれど夢見がちな男が、暗い瞳の女暗殺者に一目惚れをするファンタジー。フィルムノワールへの遠い記憶に連なる展開と歯切れのよい演出で見るものをぐいぐい引っ張りながら、ラスト、勘違い男の楽天性と女の「信じる心」が唖然とするような奇跡を呼ぶ。
なんといっても、女暗殺者を演じる伊藤まきのファム・ファタールぶりが素晴らしい。


『正当防衛』2010年/16分/16mm→DV

監督・脚本:伊野紗紀
出演:宮田亜紀 佐藤奈美子 森田亜紀 小野島由惟 香取剛 渡部佐枝子 川島玄士 内海敦 原田浩二 菊池直彦
スタッフ:中瀬慧 和泉陽光 今岡利明 神田光 木村栄一郎 小岩貴寛 宝田恵一 西田純 原田浩二 吉田峻

<STORY>
強い決意を胸に市役所を辞め、人材派遣会社の営業に転職した桜井。派遣スタッフ、顧客、後輩そして上司に挟まれた桜井に次々とトラブルが降り掛かる。一人、また一人と社員が去っていき…。極限まで追い詰められた桜井が、自分を守るために求めたものとは。
<解説>
希望を胸に転職した人材派遣会社で高圧的に成果を求める女性上司や規則を守らない派遣スタッフの対処に追われる桜井。やがて上司の圧力に耐えかね辞めていく同僚たち。取り残され、極限状態になった桜井が最後に求めたものは……。
監督・伊野沙紀の実体験を元にしているだけに細部のリアリティには凄みがある。終盤、宮田亜紀演じる桜井が線路沿いを歩く後姿のショットが、彼女の崩壊を伝えて痛々しい。


『お姉ちゃん、だいきらい』2011/13分/DV

監督:佐野真規
出演:久保紫苑、内藤瑛亮加藤綾佳、川口陽一
撮影:星野洋行/録音:清水絵里加/助監督:冨永圭祐/演出助手:山形哲生


シオンは自分のお姉ちゃんが変な男とくっついたのが何だか許せない。そこで、2人を別れさせようと企む。気弱そうな先輩を無理やり引っ張り込んで、色々とイタズラを仕掛けるのだが…しかし、シオンが手伝いを頼んだこの先輩、こいつもなんだかしょうもない男だった。四人の男女が織り成すほのぼのコメディー。天真爛漫に男を振り回すシオンが魅力的な短編。<解説>
先輩男と後輩女の童貞コメディ。佐野真規は、自分の魅力に無自覚な(フリをしている)女に振り回されることこそ最高の快楽、と言わんばかりにとことん男をしょうもなく描く。観ながら思わず「とぼけやがって」と呟きそうになるほど天真爛漫な悪女が板についている久保紫苑が魅力的。一方の先輩男を演じる内藤瑛亮が時折見せる、胸がざわめくような暗い眼差しは、この微笑ましいコメディにあって唯一の悪意を添える。そして観た後、はたと気づくのだ。この男、うらやましいぞ、と。



盛りだくさんのプログラムです。
ぜひ【A】、【B】、【C】の各プログラム制覇してください!