ドイツ・フランクフルト遠征記5(冨永圭祐)

5月6日(曇り)
おはようございます。
僕です。最近友人からブロガーと呼ばれております。

ベッドから起き上がると一枚の手紙を踏んづけました。
大工原・渡辺は映写チェックに行ったとのことでした。
手紙は5秒後に自動消滅しました。
僕もひとまずボーっとしてから会場に向かいました。
チェックは特に問題なく終わり、オリバーさんと合流しました。

今日はマイン川クルージングです。
大工原正樹は初めてマイン川を見た日から「あの船乗りてーなぁ」「明日乗ろう」「乗る時間なかったなぁ」「時間チェックしとくわ」「明日こそ乗りてーなぁ」と言い続けておりました。大工原正樹は船が好き。

船に乗り込みました。


大工原「いい…。やはり、船はいい。速度がいい」

船はゆったりとしたスピードでレーマーの街沿いを流れていきます。
気持ちいいです。


ざわ…ざわ…

船を下りるとお昼にいい時間でした。
オリバーさんと別れた我々は、レーマーのカフェ通りに向かいました。
あ、なんか撮影してます。


え、キャメラそれで大丈夫?固定できてる?車動かしたらふっとんじゃうよ!
と我々はいらぬ心配をしました。なんとなく自主映画感が漂っています。

カフェ通りについた我々は店を探しましたが、チェーン店以外けっこう閉まっております。
ドイツは日曜日はきっちり休むようです。人通りも少ない。日本もそうすべきですね。
先日来た時は、商売っ気がありすぎて入らなかったレストランに入りました。


渡辺あいは、フランクフルト名物アスパラを、僕とMさんはミートローフを、大工原正樹はソーセージ盛り合わせを頼みました。
ギターおじさんが近くに来て急に演奏を始めました。
ぼくたち観光客丸出しです。
ちょっと値が張りましたがおいしかったです。
あ、なんかお腹減ってきましたね。

今日こそ名物おばさんの作るソーセージを買おうと思ったら、市場閉まってました。
もろもろお土産を買いに色んな店に立ち寄り、ハーゲン・ダッツも食べて教会にも行ったので思い残すことはありません。ボッケンハイムに戻りました。

いよいよ『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』+プロジェクトDENGEKIの上映です。
心配なのは、同時間帯にNIPPON CINEMA部門で『モテキ』が上映されることでした。
2階の会場前は人があふれすぎて通りにくいほどでした。

「やっぱり…」と思いながら、NIPPON VISIONS部門会場のある3階へ上っていきました。
会場に入ると、


埋まっております!すごい!!
簡単に上映前あいさつをし、上映が始まりました。
上映順は、『わたしの赤ちゃん』(磯谷渚監督)、『電撃』(渡辺あい監督)、『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』(大工原正樹監督)です。

『わたしの赤ちゃん』は開始1分ぐらいで事件が起きます。展開が激烈です。
そこですぐに笑いが起きました。つかみOKです。
その後も強烈なセリフの応酬でこれでもかとばかりに展開していくのですが、うけてます!うけてます!
そして衝撃的なラスト。
今までで一番の笑いが会場を包みました。映画のラストシーンとも相まってなんとも心地よいエクスタシーを感じました。

次は渡辺あい監督の『電撃』です。『電撃』も、前半15分に濃密なドラマ展開が詰まっています。サスペンスフルかつ、笑える映画です。
魅入ってます!笑ってます!美輪玲華さん演じるミチコの強烈なキャラクターは確実にドイツのお客様にも伝わっています。
そしてこちらも最後、『わたしの赤ちゃん』に勝るとも劣らない衝撃を与えます!
またもや、会場が笑いに包まれました!
僕は、思わず「やった!」と思いました。

いよいよ大工原正樹監督『姉ちゃん、ホトホトさまの蠱を使う』です。
70年代歌謡曲調の主題歌と共に、姉弟が寂れた街へ帰ってきます。懐かしさと禍々しさが共存する風景に観客も誘われていきます。
先程までとは違った雰囲気で、お客様が魅入っています。
企画段階からこの作品に関わってきましたが、今日ほど姉弟の姿にぐっときたことはありませんでした。
長宗我部陽子さん、岡部尚さんという役者さんを、フランクフルトの皆さんにも覚えていただけたのではないでしょうか。


上映後Q&Aの一幕


お客さんに許可を取って記念撮影

会場を出ると、両名はお客様に個人的に話しかけられていました。
大工原正樹は、「君の映画が大好きだ」と言われたそうです。
嬉しそうです。
渡辺あいは、なんと美輪玲華さんとお知り合いだという方に出会いました!
数年前のニチコネで美輪さんと知り合ったそうです。
ドイツに友達ができました。

数日に渡るニッポンコネクションも閉会の時がきました。


舞台上に上がりきれないほどの方々が、このニッポンコネクションに関わってくださっていたのです!

ニチコネ・スタッフのみなさんと打ち上げ!


隈元監督『sugar baby』、眞田監督『しんしんしん』、飯塚監督『ENCOUNTERS』と「おれたちがここに来た証を残してやるぜ!」とばかりに、置いてあったノートに本当に残してやりました。


飯塚監督から拉致した『ENCOUNTERS』のスーパー怪物くんを愛でております。
本当に可愛いやつです。

先ほどのノートへの落書きの流れで飯塚監督の絵を描いていたら、渡辺あいがダメ出しをしてきました。
そこで、Mさんと僕による渡辺あい似顔絵対決が催されました。
相手は渡辺あいの大学時代からの長いつきあいです。強敵です。
渡辺あいが変な顔をしたので「そのまま!」と動きを封印しました。
Mさんと僕の真剣なまなざしが渡辺に注がれます。
渡辺は引きつってぷるぷる震えています。
この緊張感。ここはMさんと僕の鋭い視線、描いている手元、変な顔で震える渡辺の順でカットバックでしょう。

「出来た!」
二人同時にノートを開きました。
二人とも渡辺に怒られました。
そこで渡辺先生は、僕たちに「今度はお互いの顔を描いてみなさい」と指示しました。

僕とMさんはお互いに真剣な視線を交わしつつ、書き上げていきます。
再び凄まじい緊張感です。視線と視線がぶつかるところに真空が作り出され、全てが吸い込まれそうです。
実は、Mさんと会うのはこのフランクフルトが初めてではありません。
美学校時代にビデオ課題で共演したことがあるのです。
「まさか、遠いドイツの地でMさんの似顔絵を描くことになるとはな。ふふ、人生ってのは読めないものだ…」
Mさんも同じことを考えていました。

「出来た!」
二人は同時にノートを開きました。
「うむ、二人ともよく特徴を捉えておる」と渡辺先生にほめられました。

なおプライバシー保護のため、描かれた絵の写真はございません。
フランクフルトのどこかに行けば見られるかもしれないですね。

そうこうしてるうちに、会場から移動の時間になりました。
今度はバーに行って二次会です。


照明がいい感じのお店でした。


『ENCOUNTERS』の飯塚貴士監督と。


左から、飯塚監督、僕、大工原正樹、本田隆一監督『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』in 喫煙ルーム。飯塚監督は吸わないのですが、無理矢理つきあってもらいました。大体飯塚監督に絡んでいました。飯塚監督申し訳ないっす!

一方その頃、渡辺あいは店に普通のお客さんとして来ていたおじさんに「娘のようだ」といたく気に入られておりました。

宴会は深夜まで続きました。
大工原正樹は先にホテルに戻り、僕たち3人もその後しばらくして店を後にしました。

今年のニッポンコネクションもこれにて終了です。
主催者、スタッフのみなさん、出品者のみなさん、本当にお疲れ様でした。
おやすみなさい。